<p>ある Shell Script で書かれたスクリプトがあります。</p>
<p>これを実行する3パターンがあります。</p>
<ul>
<li>シェルの引数にスクリプトを指定して実行する</li>
<li>source コマンドでスクリプトを読み込んで実行する</li>
<li>スクリプトファイルを任意のディレクトリに入れておき、パスを通して cat や less コマンドのように実行する</li>
</ul>
<h2 id="シェルの引数にスクリプトを指定して実行する">シェルの引数にスクリプトを指定して実行する<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#シェルの引数にスクリプトを指定して実行する"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p>シェルをコマンドとして実行するとき、引数にスクリプトを渡すとそのスクリプトを実行できます。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ /bin/bash script.sh
</code></pre></div>
<h3 id="shebang-シェバン">shebang (シェバン)<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#shebang-シェバン"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>スクリプトの先頭に <code>shebang</code> と呼ばれる記述を書くと、そのスクリプトを実行するときに指定したシェルで実行されます。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token shebang important">#!/bin/bash</span>

<span class="token builtin class-name">echo</span> <span class="token string">'Hello World'</span>
</code></pre></div>
<p>このスクリプトは、<code>/bin/bash</code> で実行されます。</p>
<p>これはカーネルがそのスクリプトの先頭を確認して、<code>#!</code> から始まる行を見つけると、その行に書かれているシェルを使ってスクリプトを実行してくれるというものです。</p>
<p>これによって、シェル(上の例の場合は <code>/bin/bash</code>)を指定して実行する必要がなくなります。</p>
<p><code>shebang</code> を書いておけば <code>/bin/bash</code> の入力が不要なので</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ ./script.sh
</code></pre></div>
<p>と実行できます。</p>
<p>スクリプトの前に<code>./</code>が必要です。カレントディレクトリにあるファイルを実行するという意味です。</p>
<p><code>./</code>がないと、<code>cat</code> や <code>less</code> などのコマンドのように <code>$PATH</code> に書かれているディレクトリの中から実行ファイルを探して実行しようとします。</p>
<p>また普段使っているシェル(fish や zsh など)は人によって違う可能性がありますが、スクリプトの実行環境を統一した上で実行できます。</p>
<p>またこの方式で実行するにはそのスクリプトファイルに<code>実行権限が必要</code>です。</p>
<p>注意点として、サブシェル上で実行しているので、使用中のセッションでの独自の設定は利用できません。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ <span class="token function">chmod</span> +x script.sh
</code></pre></div>
<h2 id="source-コマンドでスクリプトを読み込んで実行する">source コマンドでスクリプトを読み込んで実行する<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#source-コマンドでスクリプトを読み込んで実行する"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># ./ は省略しない</span>
$ <span class="token builtin class-name">source</span> ./script.sh
</code></pre></div>
<p>source コマンドで実行すると、<code>シェルの引数として実行する時と挙動が異なります。</code></p>
<p>source コマンドで実行すると、そのスクリプトの中身をそのままコマンドラインに入力した時の挙動になります。</p>
<p>つまり、今のセッション( Current Shell )の設定を引き継いだまま実行します。</p>
<p>また、ファイルを実行しているというよりは、中身をそのままコマンドラインに入力して実行しているようなものなので、<code>ファイルに実行権限は不要</code>です。</p>
<p>source コマンドによる実行なので <code>shebang</code> は先頭が <code>#</code> から始まるコメントとして扱われ、shebang に書かれているシェルで実行されません。</p>
<h3 id="ファイルを指定するときは--などのパスを指定する">ファイルを指定するときは ./ などのパスを指定する<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#ファイルを指定するときは--などのパスを指定する"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>bash の source コマンドは、<code>スクリプトのパスを指定しなかった場合</code>、<code>$PATH</code> に書かれているディレクトリの中から実行ファイルを探して実行します。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># カレントディレクトリに script.sh がないとする</span>
<span class="token comment"># パスを指定しないで実行</span>
$ <span class="token builtin class-name">source</span> script.sh
</code></pre></div>
<p>スクリプトがないので失敗します。しかし、もし、この script.sh という名前の実行ファイルのパスが通っていたら、サーチパスが働き実行されます。</p>
<p>これは実行するつもりのないファイルが実行されてしまう可能性があって危険なので<code>パスを指定して実行するのが安全</code>です。</p>
<h3 id="サーチパスを無効にする">サーチパスを無効にする<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#サーチパスを無効にする"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>またこのサーチパスの挙動は、</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token builtin class-name">shopt</span> <span class="token parameter variable">-u</span> sourcepath
</code></pre></div>
<p>として、シェルに設定することで無効にできます。</p>
<h2 id="スクリプトファイルを任意のディレクトリに入れておきパスを通して-cat-や-less-コマンドのように実行する">スクリプトファイルを任意のディレクトリに入れておき、パスを通して cat や less コマンドのように実行する<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#スクリプトファイルを任意のディレクトリに入れておきパスを通して-cat-や-less-コマンドのように実行する"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p>上記で、source コマンドによるサーチパスを使って <code>cat</code> や <code>less</code> などのコマンドのように実行するのは安全ではないと書きましたが、<code>cat</code> や <code>less</code> などのコマンドのように実行できたら、楽です。</p>
<p>この場合は任意のディレクトリを作成して、そこにスクリプトファイルを入れておき、そのディレクトリを <code>$PATH</code> に追加すれば可能です。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># $HOME/bin は例なので、任意のディレクトリを作成してください</span>
$ <span class="token function">mkdir</span> <span class="token parameter variable">-p</span> <span class="token environment constant">$HOME</span>/bin
$ <span class="token function">mv</span> script.sh <span class="token environment constant">$HOME</span>/bin
$ <span class="token builtin class-name">export</span> <span class="token assign-left variable"><span class="token environment constant">PATH</span></span><span class="token operator">=</span><span class="token environment constant">$HOME</span>/bin:<span class="token environment constant">$PATH</span>
</code></pre></div>
<p>と設定し、</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ script.sh
</code></pre></div>
<p>で実行します。</p>
<p>当然ですが、パスが通っていることで、source コマンドでパス指定なしで実行するとサーチパスが有効の場合は、意図しない実行が発生する可能性がでます。</p>