<p>例えば、ログファイルに不要な書き込みが定期間隔でされるプログラムが実行されているとします。</p>
<p>そのプログラムを特定して、止めなければログファイルはいずれかディスク容量を圧迫してしまいます。</p>
<p>このような不具合が起きたときなど、プロセスを特定して止める方法を紹介します。</p>
<h2 id="プロセス情報を取得するときに便利なコマンド">プロセス情報を取得するときに便利なコマンド<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#プロセス情報を取得するときに便利なコマンド"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<ul>
<li><code>ps</code> コマンド</li>
<li><code>lsof</code> コマンド</li>
<li><code>fuser</code> コマンド</li>
</ul>
<p>これらを活用して PID を特定してプロセスを止めます</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ <span class="token function">kill</span> <span class="token parameter variable">-9</span> PID
</code></pre></div>
<h2 id="プロセスを止める-killコマンド">プロセスを止める Killコマンド<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#プロセスを止める-killコマンド"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p><code>kill</code> は元々はシグナルを送信するコマンドです。</p>
<p>シグナルの指定はシグナル名でもシグナル番号のどちらでも可能です。</p>
<h3 id="term-シグナルで止める">TERM シグナルで止める<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#term-シグナルで止める"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>kill コマンドでシグナルの種類を指定しなかったときのでデフォルトのシグナルは TERM です。<br>
なのでこの場合、シグナルの指定は省略可能です。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ <span class="token function">kill</span> PID
</code></pre></div>
<p>終了させる前に、終了処理をしてくれるので正常終了ができます。</p>
<h3 id="kill-シグナルで止める">KILL シグナルで止める<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#kill-シグナルで止める"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>プロセスではなく、直接カーネルが処理するため、強制終了をさせます。</p>
<p>終了処理をしてくれないため、TERM シグナルで止まらないプロセスの終了に使います。</p>
<p>まず TERM シグナルで止めてみて、止まらない場合は KILL シグナルで止めます。</p>
<p><code>-9</code> は SIGKILL のシグナル番号です。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ <span class="token function">kill</span> <span class="token parameter variable">-9</span> PID
</code></pre></div>
<h2 id="ps-コマンド">ps コマンド<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#ps-コマンド"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p><code>"process status"</code>の略で、現在動作中のプロセスを表示するコマンドです。</p>
<p>プロセスID（PID）、CPU使用率、メモリ使用率、実行中のコマンド名などの情報を提供します。</p>
<p>psコマンドは特定のプロセスが動作しているかを確認するのに便利です。</p>
<p>以下のコマンドは便利です。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell">$ <span class="token function">ps</span> auxf <span class="token operator">|</span> <span class="token function">grep</span> プロセス名
</code></pre></div>
<table>
<thead>
<tr>
<th>オプション</th>
<th>意味</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr>
<td>a</td>
<td>通常、psは現在のシェルで実行されているプロセスのみを表示しますが、aオプションをつけることで、現在のシェルに関係なくすべてのユーザーのプロセスを表示します。</td>
</tr>
<tr>
<td>u</td>
<td>"user-oriented format"の略で、ユーザー指向の形式で出力を表示します。プロセスの所有者、CPU使用率、メモリ使用率、コマンド名などを含む詳細な情報を表示します。</td>
</tr>
<tr>
<td>x</td>
<td>通常、psはターミナルに関連づけられたプロセスのみを表示しますが、xオプションをつけることで、ターミナルに関連づけられていないプロセスも表示します。つまり、バックグラウンドで実行されているプロセスやデーモンプロセスも表示します。</td>
</tr>
<tr>
<td>f</td>
<td>"forest"の略で、プロセスのツリー構造（親子関係）を表示します。これにより、どのプロセスがどのプロセスから派生したかを視覚的に理解することができます。</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>a と x をつけることでバックグラウンドで動いているバッチ処理なども可視化します。</p>
<h3 id="使用例">使用例<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#使用例"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<p>以下のコマンドでプロセスの情報を見ることができます。</p>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># Webサーバーの Nginx が稼働しているかを確認したい場合、</span>
$ <span class="token function">ps</span> aux <span class="token operator">|</span> <span class="token function">grep</span> nginx
</code></pre></div>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># CPUやメモリの使用が高いと感じた時、リソース使用率の高いプロセスを特定することができます。</span>
$ <span class="token function">ps</span> aux <span class="token parameter variable">--sort</span><span class="token operator">=</span>-%cpu
$ <span class="token function">ps</span> aux <span class="token parameter variable">--sort</span><span class="token operator">=</span>-%mem
</code></pre></div>
<h2 id="lsof-コマンド">lsof コマンド<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#lsof-コマンド"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p><code>"list open files"</code>の略で、現在開かれているファイルやネットワーク接続などの情報を表示するコマンドです。</p>
<p><code>ファイルが開けない</code>、<code>ポートが占有されている</code>、などの問題が起きた時に、問題の原因を特定するためにlsofコマンドがよく使われます。</p>
<h3 id="使用例-1">使用例<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#使用例-1"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># 特定のファイルがなぜ開けない（既に開かれていてロックされている）のか、そのファイルの調査をする</span>
$ <span class="token function">lsof</span> /path/to/file

<span class="token comment"># 特定のポート（例えば80番ポート）を使用しているプロセスを特定できます</span>
$ <span class="token function">lsof</span> <span class="token parameter variable">-i</span> :80
</code></pre></div>
<h2 id="fuser-コマンド">fuser コマンド<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#fuser-コマンド"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p><code>"file user"</code>の略で、ファイルやソケットを使用しているプロセスを表示するコマンドです。</p>
<p><code>特定のリソース</code>がどのプロセスによって占有されているかを調べるときに非常に便利です。</p>
<p>たとえば、<code>特定のファイルが開けない</code>、<code>特定のポートが占有されている</code>などの問題を解決するのに役立ちます。</p>
<p><code>-kオプション</code>を使うと、指定したファイルやポートを使用中のプロセスを<code>強制終了（kill）</code>することができます</p>
<h3 id="使用例-2">使用例<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#使用例-2"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h3>
<div class="remark-highlight"><pre class="language-shell"><code class="language-shell"><span class="token comment"># プロセスのPIDを得る</span>
$ <span class="token function">fuser</span> /path/to/file

<span class="token comment"># 特定のネットワークポート（例えば3306番ポート）を使用しているプロセスのPIDを得る</span>
$ <span class="token function">fuser</span> <span class="token number">3306</span>/tcp
</code></pre></div>
<h2 id="どれもプロセス取得しているようで違いがわからない">どれもプロセス取得しているようで違いがわからない<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#どれもプロセス取得しているようで違いがわからない"><span class="heading-link-icon" aria-hidden="true"></span></a></h2>
<p>ある車（これが「プロセス」に相当します）があるとします。それぞれのコマンドが車についてどのような情報を提供するかを考えてみましょう。</p>
<ul>
<li>
<p>psコマンドは車が走行中であること、エンジンの回転数、燃費、速度などを教えてくれます。つまり、車（プロセス）自体の状態を知るのに使います。</p>
</li>
<li>
<p>lsofコマンドは、車がどの道路（これが「ファイル」や「ネットワーク接続」に相当します）を走っているかを教えてくれます。つまり、どのリソースをどの車（プロセス）が使っているかを知るのに使います。</p>
</li>
<li>
<p>fuserコマンドも同様に、車がどの道路を走っているかを教えてくれます。<br>
しかし、さらにその車（プロセス）を停止させることができます（もちろん注意が必要です）。つまり、どのリソースをどの車（プロセス）が使っているかを知り、必要に応じてその車（プロセス）を停止させるのに使います。</p>
</li>
</ul>