HTMLフォームの改修を最近していて、メールアドレスのフィールドで、メールアドレスのドメイン部分に例えば<code>hoge@example.com漢字</code>のように入力してリクエストをすると、漢字を含むドメイン名が英数字に変換されているのに気づきました。
変換されていて気になったので調べました。
<h2 id="internationalized-domain-names-idn">Internationalized Domain Names (IDN)<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#internationalized-domain-names-idn"></a></h2>
結論から書くと、メールアドレスに限らず、ドメイン名には漢字やアラビア文字なども利用できるようになっています。
このようなドメイン名を <code>Internationalized Domain Names (IDN)</code> と呼びます。
IDNは、非ラテン文字（例えば、キリル文字、アラビア文字、中国文字など）や特殊文字（例えば、ウムラウトやアクセント記号）も含みます。
本来は、ドメイン名にはASCII文字のみ利用できると定められています。
しかし、非英語圏のユーザにとって、ドメイン名に非ASCII文字を利用できるのは便利です。
そこで現在のDNSの仕組みをなるべく壊さずに、IDNを利用できる仕組みがが考えられます。
あらかじめ、非ASCII文字をASCII文字に変換すれば、DNS側の仕様の変更なしで利用できます。
<h2 id="仕組み">仕組み<a aria-hidden="true" tabindex="-1" href="#仕組み"></a></h2>
IDN (Internationalized Domain Names) の非ASCII文字の変換プロセスは、基本的には<code>Nameprep</code>と<code>Punycode</code>のエンコードの2つのステップで構成されます。
<ol>
<li>
Nameprep（正規化）: このステップでは、入力されたドメイン名がUnicode文字列として処理されます。大文字は小文字に変換され、フルウィズス文字はハーフウィズスに変換され、組み合わせ文字は分解または統合されます。これにより、同じドメイン名が異なる形式で表されることを防ぐため、統一的な形式に正規化されます。
</li>
<li>
Punycodeエンコード: 正規化されたUnicode文字列は次にPunycodeエンコードされます。Punycodeは、Unicode文字列をASCII文字列にエンコードするための方法です。このエンコードは、非ASCII文字を含むドメイン名をDNS（ASCII文字のみを扱う）と互換性のある形式に変換するために使用されます。
</li>
</ol>
この結果、例えば「例えば.com」のようなドメイン名は、Nameprepによって正規化された後、Punycodeエンコードを通じて「xn--r8jz45g.com」のようなASCII文字のみの形式に変換されます。
このようにして、IDNはASCII文字のみを扱うDNSと互換性のある形式に変換されます。
私は業務で Django を使っているのですが、Django の メールアドレスのバリデーションには、EmailValidator が使われており、内部では
<div class="remark-highlight"><pre class="language-python"><code class="language-python">domain_part = punycode(domain_part)
</code></pre></div>
というように、Punycodeエンコードが行われていました。